2008年9月7日日曜日

Hegemony system.....10

▼小均衡から大均衡へ

 この連載の前編で、19世紀のイギリスの
覇権戦略(均衡戦略)を支えていたのはユダ
ヤ資本家の全欧的ネットワークで、英の金融
資本だったロスチャイルド財閥などは、その
ネットワークの一環だったのではないかとい
う推論を書いた。ロスチャイルドは19世紀
後半にニューヨークに進出し、その系列の有
力金融家だったヤコブ・シフがロシア革命に
金を出している。

 このことから推察できるのは、ユダヤネッ
トワークの人々は19世紀前半にはイギリス
の覇権を積極支援したが、その後19世紀末
にイギリスの発展が陰り出し、後から台頭し
てきたドイツを潰そうと包囲網を作って守り
に励むようになると、ネットワークの人々は
中心をイギリスからアメリカに移そうとした
のではないかということだ。

 しかも、単に覇権国を英から米に移転させ
るだけでなく、英が作った「欧州諸国は国民
国家として発展するが、欧州以外の国々は植
民地として発展を制限する」という欧州限定
の均衡戦略(小均衡)を、米主導の「世界中
に国民国家を作り、世界中を発展させる」と
いう限定なしの均衡戦略(大均衡)に拡大さ
せる動きが、第一次大戦を機に試みられたと
考えられる。

 小均衡より大均衡の方が、世界経済の成長
は大きい。資本家の儲けは大きくなる。ユダ
ヤの国際金融ネットワークが、英が作った小
均衡を破壊して大均衡につなげようとしたと
考えると、当初は短期的な地域限定戦争で終
わると考えられていた第一次大戦が長期戦と
なり、欧州全域が自滅的に破壊され、戦後の
欧州諸国は植民地を維持する力も失ったとい
う展開への説明もつく。金融資本家たちは、
第一次世界大戦によって英仏など欧州列強が
全て自滅するよう、意図的に各国の政策を操
って戦火を拡大したのではないか、と思われ
るからである。

 彼らは、欧州を自滅させることで、世界の
植民地を独立させ、英中心の小均衡を、米中
心の大均衡に転換し、世界経済の発展を加速
しようとしたと考えられる。その一環として、
ロシア革命が実現し、植民地状態からすぐに
国民国家に転換するのが困難な世界の諸地域
で、疑似国民国家としての社会主義国家を実
現できる道具がそろえられた。

 ロシア革命を受け、中国では、中華民国を
建国していた国民党が社会主義政党となり、
コミンテルンの命令によって、1924年に
国民党と共産党による国共合作(第一次)が
行われた。ソ連は中国の国家建設と抗日戦争
の推進に大きな貢献をしたが、もともと中国
に共和国をつくろうと支援していたのはアメ
リカである。

 国民党を作った孫文は、ハワイ華僑として
成功していた兄の孫眉ら在米華僑や、長老教
会などアメリカのキリスト教会から支援を受
けていた。中国を共和国にして経済発展させ
たいと最も強く考えていたのがニューヨーク
の資本家たちだったことは、容易に想像がつ
く。大均衡戦略は、ソ連や中国を台頭させ、
世界を多極的な覇権体制にしていく戦略でも
あった。

 第一次大戦で、アメリカ自身はロシア革命
直前に参戦し、イギリスがドイツに負けるこ
とを防ぎ、英を戦勝国にしてやった。これは、
英など欧州を自滅させて世界を大均衡に転換
する戦略と矛盾するようにも見えるが、米の
参戦は、英が米に覇権を委譲することを条件
に挙行されたと考えると、覇権移譲をスムー
ズに行うための戦略となる。

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