北京に、新しいアメリカ大使館が建設された。オリンピック
開催の半日前である8月8日の午前8時8分、五輪参加のため
に訪中したブッシュ大統領が出席し、新大使館の開設式が行わ
れた。北京の新しい米大使館は、世界の米大使館の中で2番目
に大きな規模を持っている。北京での米大使館員の数は、20
01年の500人から、現在の1000人へと倍増しており、
米政府は大使館の移転拡大を決めた。
世界最大の米大使館は、イラクのバグダッドにあり、500
0人が働いている。イラクの米大使館も最近完成した新しいも
のだが、米の軍事産業が巨額予算を獲得するために浪費的に巨
大なものを作った経緯があり、巨大だが機能不全の部分が多い。
バグダッドの米大使館はフセイン元大統領の宮殿跡に作られた
もので、この土地はイラク政府から返還を請求されており、い
つまで米大使館として使えるかも怪しい。バグダッドの米大使
館は、イラク戦争の産物という、例外・変則的な存在である。
事実上、北京の米大使館が、世界最大の米大使館であると考え
ることもできる。
中国側も今年7月に、米ワシントンDCで新しい中国大使館
を建設した。新中国大使館は、ワシントンにあるあらゆる諸国
の大使館の中で最も大きい規模となっている。
北京での新米大使館の完成にあたり、ランド駐中国米大使
(Clark T. Randt Jr.)は「米中関係は、21世紀の世界
で最も重要な2国間関係である」と表明した。米中相互の大使
館の規模の大きさは、この表明が誇張ではないことを示してい
る。以前の記事「アメリカが中国を覇権国に仕立てる」に書い
たように、米中関係が世界最重要の2国間関係だという見方は、
国際政治の業界で定着した見識になりつつある。
北京五輪の開会式には、ブッシュ大統領、福田首相、プーチ
ン首相ら、過去最大級の50カ国以上の指導者が参列した。ア
メリカの大統領が米国外で開かれたオリンピックの開会式に出
席したのは、今回が初めてである。ブッシュは五輪出席によっ
て、北京五輪を機に中国が国際社会から大国として認知される
状況作りに協力している。
欧米や日本では、軍産英複合体による冷戦復活のプロパガン
ダに乗せられて「五輪反対・チベット独立支援」の市民運動が
展開されているが、当のチベット指導者ダライラマは、中国政
府との交渉妥結を急ぎたいと思っている。中国政府は、チベッ
トにおける文化宗教面での自由な活動への容認度を上げる代わ
りに、ダライラマはチベット自治に関する要求度を下げる方向
で、双方は交渉妥結への努力をしている。実現しなかったもの
の、中国側には、ダライラマを四川省大地震の追悼式に参加し
てもらう構想もあった。日本の自衛隊機を救援物資運搬の口実
で飛ばすことで、日中間の対立を緩和しようとしたのと同様、
中国政府は大地震を、周辺諸勢力との政治緊張緩和に使おうと
したことがうかがえる。

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