2008年7月20日日曜日

solve a riddle of jump in crude oil prices

アメリカ連邦議会上院で、原油市場に対する投機資金
の規制を強化する「石油取引透明化法」(Oil Trading
Transparency Act)が検討されている。法案は、2
人の民主党議員が提案している。

 国際石油価格は、アメリカの代表的な原油であるウェス
ト・テキサス・インターミディエイト原油(WTI)の石
油先物の価格で決まる。WTIの先物は、ニューヨーク商
品取引所(NYMEX)に上場しているが、同じ先物商品
は、ロンドンにあるICE(Intercontinental Exchange)
という企業が運営するネット上の先物取引市場でも取り引
きされており、アメリカのヘッジファンドや投資銀行は最
近、ニューヨークのNYMEXだけでなく、ロンドンのI
CEを通じて、さかんにWTI先物を買い、原油価格を高
騰させている。

 NYMEXはアメリカの市場なので、そこでの先物取引
は、米政府の商品先物取引委員会によって監視され、投機
的な行為は取り締まられる。だがロンドンのICEは、外
国の民間企業による相対取引の市場なので、米政府の監視
の枠外にある。投機で原油をつり上げたい米投機筋(ヘッ
ジファンドや投資銀行)は、ロンドンのICEで先物を売
買し、米当局の目を盗んで意図的に原油価格をつり上げ、
ぼろ儲けしており、規制が必要だ、というのが2人の上院
議員の法案提出の理由である。

 米議会上院ではすでに、2006年6月に作られた報告
書で「投機資金は2000年から原油先物相場をつり上げ
ている」「WTIの先物取引の30%はロンドンICEで
取り引きされている」と指摘されていた。しかし、米政府
は上院報告書をほとんど無視し、何の対策もとらなかった。

 この問題を指摘した石油・地政学専門家のウィリアム・
エングダールによると、現在の国際原油価格のうち最大で
60%が、投機筋によるつり上げ効果によるものだという。
WTIはアメリカ産の石油種であるため、ロンドンのIC
Eが、WTI先物を自社の市場で取り引きする商品の中に
加えるに当たっては、米当局の認可が必要だったが、ブッ
シュ政権は2006年1月、この認可を出している。その
後WTIの高騰が激しくなり、同年6月に上院が投機を警
告する報告書を出したが、米政府は無視した。ブッシュ政
権はまるでWTIを高騰させることを意図したかのように、
投機筋にICEという抜け穴を作ってやった、とエングダ
ールは書いている。

 エングダールの分析が正しいとしたら、現在1バレル1
20ドルを超えているWTIの価格は、投機を排除すれば、
50ドル程度まで下がりうることになる。

 ロンドンのICEでの原油先物取引は、当局の監視外で
行われる相対取引が膨大な額になり、現物市場に悪影響を
与えている点で、昨夏以来の金融危機の原因となったサブ
プライム住宅ローン債券の市場と似ている。サブプライム
の債券は、現実の住宅ローン債権を、銀行の簿外という当
局の監視外の領域で、相対取引で売買し、取引が昨夏まで
急拡大していた。いずれの問題も、当局が市場規模すら把
握できない金融派生商品の「私設市場」での取引が肥大化
した末に起きている。

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