米議会上院での石油先物規制法案に対し、規制強化
を求められている米政府の商品先物取引委員会は、上
院の公聴会で「原油高騰の主因は投機ではない」「石
油相場は、需給に基づく基本線から大きく逸脱してい
ない」と説明した。上院ではロンドンICEでの取引
への監視強化と合わせ、石油先物取引の際の証拠金比
率を引き上げて投機を規制しようとしているが、商品
先物取引委員会は「(投機が上昇の主因ではないのだ
から)規制強化は思わぬ悪影響をもたらしかねない」
と反対している。
前出のエングダールの分析を延長するなら、ブッシ
ュ政権は意図的に投機で石油を高騰させているのだか
ら、大統領の意を受けて動く商品先物取引委員会が、
石油高騰の原因は投機ではないと主張して、議会の規
制要求を止めようとするのは当然だということになる。
米大手投資銀行のゴールドマンサックスは最近、原
油価格は今後2年以内に1バレル200ドルまで上が
るかもしれないとの予測を発表した。同銀行は3年前、
原油が100ドルになる現状を正確に予測していたこ
とで知られ、今回の200ドル説も重視されている。
しかし、原油価格がWTI先物の投機によってつり上
げられ、ゴールドマンが投機筋の親玉の一人であると
考えるなら、自作自演の高騰なのだから、予測が当た
るのは当然だ。
ゴールドマンは、モルガンやロックフェラーと並ぶ
「ニューヨークの大資本家」だ。彼ら大資本家は、
1895年に米連邦政府が財政破綻しかけた際、JP
モルガンを中心に、連邦政府を救済してやって以来、
米政府を操る糸を握り続けている。1913年には連
邦準備制度(連銀)が作られたが、連銀設立のシナリ
オを描いたのもニューヨークの大資本家である。米政
府の外交政策を事実上決めてきた「外交問題評議会」
(CFR)も同様だ。
ブッシュ政権がICEという原油投機の「抜け穴」
を開け、ニューヨークの大資本家たちが石油価格をつ
り上げる、という共同作業の結果、ロシアやサウジア
ラビア、イラン、ベネズエラなどの産油国の国庫が潤
い、これらの国々はアメリカの覇権に対抗できうるネ
ットワーク(非米同盟)を強化している。以前の記事
に、ニューヨークの大資本家による「覇権ころがし」
としての多極化戦略について書いたが、大資本家と、
その代理人であるブッシュ政権が、石油を意図的に高
騰させ、反米的な産油国の力を増大させて、世界の覇
権体制を多極化しようとしている、と考えられる。
3月中旬に米連銀が投資銀行ベアースターンズを救
済して以来、ブッシュ政権など多極主義者による覇権
自滅策を阻止すべく、イギリスなど米英中心主義勢力
による延命策が発動しているようだが、今回の米議会
上院での原油先物取引規制の強化策も、延命策の一環
であり、原油価格を引き下げ、ドルの基軸通貨性や、
米経済の不況悪化防止を目指したものとも考えられる。
ベアースターンズ救済策が発表された直後、各種商品
相場の平均指数(CRB指標。石油、金属、穀物など)
は急落した(その後、市場最高値に戻った)。

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